サステナビリティ情報の取り扱いに関する動向 サステナビリティ情報の 取り扱いに関する動向
企業価値を左右しうるサスデナビリティ情報は、その取り扱い管理が急速に求められるようになっています。欧米ではデータの信憑性を確保すべく第三者保証が義務付けられました。日本企業においても対応が要求され始めております。
2015年のパリ協定を契機として、これまでは努力目標に近かった地球温暖化対策が本格的な規制としての動きへと変化し、ネットゼロを目標とするサステナビリティ領域の対応が企業経営の最重要課題の一つとなりました。
現在、IFRS財団ISSBのグローバルな統一的基準をはじめ、欧州のCSRDサステナビリティ報告指令、米国SEC開示規則が並行して検討されており、企業にはこれらの基準を確認して自社の情報を的確に開示することが求められています。日本企業もこのグローバルな動向の影響下にあり、EU域内で拠点や一定の売上規模を有する日本企業にとってはEU CSRDへの対応が喫緊の課題となりました。日本の金融庁はこれらグローバル・欧米の基準を踏まえ、国内の開示基準の検討を進めています。
このような規制の動向に加え、経済の観点でも新たな潮流が見られます。例えば、投資家が財務情報と非財務情報を関連付けて企業価値を正確に評価できるよう、両者を同等に管理し、サステナビリティレポートの開示時期と有価証券報告書の公開時期を同時期にすべきとする見方が強まっています。また、2023年には日本でGX推進法が成立しましたが、GX推進法における温室効果ガス(GHG)削減に向けたカーボンプライシング制度や補助金制度の活用には、GHG排出量の正確な把握と管理が前提となっています。
一方、社会の動向としては、カーボンニュートラルやネットゼロに代表されるサステナビリティの視点が消費者の商品選定や従業員の企業選定への影響力を強めています。